エンバーマーの需要が拡大する5つの理由と将来性を解説

この記事でわかること

  • エンバーマーの需要に関する現状
  • エンバーマーの需要が拡大する5つの理由
  • エンバーマーの需要と供給のギャップ
目次

エンバーマーの需要に関する現状

エンバーマーは、亡くなる方が急増する多死社会において、需要が急速に拡大している専門職です。

年間の施工件数はすでに8万件を超える一方で、有資格者は全国でわずか237人にとどまっており、需要と供給の差は広がる一方です。

火葬場不足という社会問題を背景に、この職業の重要性はかつてないほど高まっています。

遺体衛生保全を担う専門職

エンバーマーは、ご遺体を衛生的かつ生前に近い穏やかな姿で長期間保つための専門的な処置を行う技術職です。

日本語では遺体衛生保全士と呼ばれます。

具体的な仕事の内容は、大きく分けて次の3つです。

  • 血管にメスを入れて体内の血液を防腐剤と入れ替え、腐敗や感染症のリスクを取り除く
  • 闘病や事故で変化した外見を、特殊なワックスや縫合技術で生前の姿に整える
  • 常温で長期間安置できる状態をつくり、ご遺族が落ち着いて最後のお別れができるようにする

単なる「保存」ではなく、悲しみを抱える家族の心のケアまで担う点が、この仕事の本質的な価値です。

有資格者の希少性

日本で活動している正規のエンバーマーは、2024年時点で全国にわずか237人しかいません。

年間8万件を超える施工件数を単純に割ると、1人あたり年間337件を担当する計算になります。

これは、稼働日のほぼ毎日1件以上の高度な処置をこなしている状態を意味し、現場が慢性的な人手不足にあることが分かります。

正規のエンバーマーになるには、国内の専門学校で2年間にわたり解剖学や公衆衛生学、防腐技術を学んだうえで難関な試験に合格するか、海外の大学で資格を取得して帰国するルートをたどる必要があります。

いずれも多額の学費と時間が必要なため、有資格者は急には増えません。

この参入障壁の高さが、職業としての希少性を支えています。

需要拡大の傾向

エンバーミングの利用は、過去30年あまりで爆発的に広がってきました。

導入当初の1988年は年間191件にすぎませんでしたが、その後の普及で施工件数は大きく伸びています。

施工件数の推移をまとめると次のようになります。

年次 年間エンバーミング施工件数 全国の施設数
1988年 191件 48か所
2000年度 10,000件突破 データなし
2020年度 50,000件突破 データなし
2024年度 80,000件超 90か所

特に2020年度から2024年度までのわずか4年間で約1.6倍に増えた点が大きな特徴です。

新型コロナウイルスの流行で遺体からの感染リスクへの意識が高まったことと、大都市での火葬待ち問題が深刻化した時期が重なったことが、この急増の引き金となりました。

火葬待ち日数の長期化による影響

日本の年間死亡者数は、2040年に約168万人でピークを迎えると予測されています。

火葬場は周辺住民の反対が起きやすい施設で、新規建設や増設は容易ではありません。

その結果、東京や大阪、名古屋などの大都市圏では、亡くなってから火葬まで1週間以上待たされるケースも珍しくなくなっています。

従来主流だったドライアイスによる保存は2日から3日が限界で、安置が長引くと次のような問題が起きてしまいます。

  • 遺体が凍結し、細胞組織が壊れて解凍時に体液が漏れ出す
  • 根本的な腐敗の進行は止められない
  • 密閉空間で気化した二酸化炭素により、付き添う遺族が中毒事故を起こす危険がある

こうした課題を科学的に解決できる手段として、防腐剤を体内に行き渡らせるエンバーミングが選ばれる場面が急増しています。

需要の拡大は、贅沢なオプションが売れているのではなく、社会インフラの欠陥を補うための必須措置として選ばれざるを得なくなっている、という構造的な変化を映し出しているのです。

エンバーマーの需要が拡大する5つの理由

エンバーマーの需要は、人口の変化や遺族の価値観の移り変わりなど、複数の要因が重なり合って急速に拡大しています。

一時的なブームではなく、葬祭の仕組みそのものが抱える構造的な課題に裏打ちされた、後戻りしにくい流れです。

ここからは押さえておきたい5つの理由を順番に見ていきます。

高齢化で年間死亡者数が増加している

需要拡大の土台にあるのは、亡くなる方の数そのものが急増する多死社会の到来です。

多死社会とは、高齢者の割合が増えたことで、毎年亡くなる方の数が歴史的なピークへ向かって膨らみ続ける社会のことを指します。

日本では2040年に年間死亡者数が約168万人に達する見通しで、葬祭サービス全体の需要が確実に拡大することを意味します。

亡くなる方が増えれば、それに比例して衛生的な処置や長期保存を必要とする場面も増えます。

エンバーマーの仕事は、構造的に不足することのない領域へと向かっているのです。

都市部の火葬場不足で遺体保存ニーズが急増している

大都市圏では火葬場の不足が深刻化しており、これが遺体保存の必要性を一気に押し上げています。

火葬施設は近隣住民の反対が起きやすく、新規の建設や増設が政治的にも物理的にも難しい施設の代表格です。

東京や大阪、名古屋などでは亡くなってから火葬まで数日から1週間以上待たされるケースも常態化しつつあります。

葬儀社からの提案に戸惑う遺族からは、「予想以上に待たされる」という声も聞かれます。

常温で長く安置できる科学的な手段として、エンバーミングが選ばれる場面が急増しているのです。

遺族の価値観が多様化し尊厳ある別れを重視されている

遺族の葬儀に対する価値観は、形式重視から「故人そのものへのケア重視」へと大きく変化しています。

鎌倉新書の調査では、葬儀の種類は次の割合となっています。

  • 一般葬または家族葬:74%
  • 直葬(儀式を行わず火葬のみ):16%
  • 一日葬(通夜を省き1日で完結):9%

直葬を選ぶ理由の約6割は経済的な事情ですが、その分だけ祭壇や宗教者への謝礼に使われていた予算が、故人へのケアに回りやすくなっています。

「形式は省いても、最後に会う姿だけは綺麗にしてあげたい」という願いが、エンバーミングを支えています。

感染症対策としての衛生処置にニーズがある

新型コロナウイルスの流行を経て、遺体からの感染リスクへの意識は社会全体で大きく高まりました。

エンバーミングは体内の血液を強力な防腐殺菌剤に完全に入れ替えるため、ご遺体に直接触れても感染症のリスクが取り除かれます。

実際の利用件数にも変化は表れています。

年間の施工件数は2020年度の5万件超から2024年度には8万件超へと、わずか4年で約1.6倍に急増しました。

B型肝炎や結核といった病原体への対応も含め、衛生面のリスクを科学的に処理できる技術として、エンバーマーの役割はますます重要になっています。

海外搬送や長距離移送では代替できない

長距離の遺体搬送が必要な場面では、エンバーミング以外に有効な手段が事実上ありません。

エンバーミングは1回の処置で2週間から数か月の常温安置を可能にするため、海外で亡くなった方を本国へ帰す場合や、遠方の親族のもとへ移送する際に欠かせない技術となっています。

遺体保存の各手段は、移送への適性という観点で大きく異なります。

それぞれの違いは次の通りです。

保存方法 保存可能期間 移送への適性
ドライアイス 2〜3日が限界 長距離移送では限界
電場式の冷蔵技術 1か月以上の長期保存が可能 冷蔵設備からの取り出しに制約あり
エンバーミング 2週間〜数か月 常温で安定的に移送可能

移動中もご遺体の状態を保てる手段が他にないため、グローバル化の進む現代社会において固有の需要を生み出しています。

エンバーマーの需要と供給のギャップ

エンバーマーの世界では、需要に対して有資格者の供給が決定的に足りていない状況が続いています。

年間8万件を超える施工件数に対し、有資格者は全国でわずか237人。

大手葬儀社の求人も安定して増え続けており、職業としての将来性は極めて高い状態にあります。

有資格者数に対し求人数が上回っている

結論からいうと、エンバーマーは深刻な売り手市場です。

「ネットでは飽和と言われているけれど本当だろうか」と不安に感じる方は少なくありませんが、実態は正反対といえます。

その理由は、需給バランスを示す具体的な数字に表れています。

2024年度時点で日本国内の正規エンバーマーは237人にとどまり、年間8万件超の施工件数を割ると1人あたり年間約337件を担当する計算です。

稼働日の毎日1件以上の高度な処置をこなしている計算になり、資格があれば自分が働きたい職場を選べる立場に立てる職業です。

大手葬儀社からの求人は安定的に増えている

エンバーマーの活躍の場は、自社で処置施設を持つ大手葬儀社に集中しているのが特徴です。

エンバーミングセンターと呼ばれる処置施設には、化学薬品を安全に扱うための排気装置や排水処理装置が欠かせません。

設備投資の規模が大きいため、施設を運営できるのは資本力のある大手企業に限られます。

大手葬儀グループでは、エンバーマーを故人の尊厳を守る専門職として位置づけています。

希少人材を確保するための採用は今後も継続する見通しです。

AIや機械化では代替されにくい専門性がある

エンバーマーの仕事は、AIや機械では置き換えにくい領域にあります。

理由は、業務の中核が「修復」と「衛生」という、人の手と判断にしか頼れない技術だからです。

具体的には次のような作業が含まれます。

  • 闘病で痩せ細った身体や、事故で損傷した部位を、生前の写真を見ながらワックスや縫合で整える
  • 体内の血液を防腐殺菌剤に入れ替え、ご遺体に直接触れても感染症のリスクが生じない状態にする
  • ご遺族の表情や言葉から心情をくみ取り、対応の細かさを調整する

個別性が高く、マニュアル化や自動化が極めて難しい作業ばかりです。

電場式の冷蔵技術が普及しても、傷ついた身体を整え直すことまでは機械にはできません。

10年後も需要が継続すると予測される

エンバーマーの需要は、10年後も継続的に拡大すると見込まれます。

理由はシンプルで、日本社会の人口構造そのものが需要を生み出し続ける仕組みになっているからです。

日本の年間死亡者数は2040年に約168万人でピークを迎える見通しです。

直葬や家族葬の広がりで儀式は簡素化されていますが、その分の予算は故人そのもののケアへ向かいやすくなっています。

鎌倉新書の調査によれば、葬儀費用について7割以上の遺族が支払い額に納得しており、「値段以上の価値」を感じたという回答が最多でした。

形式は簡素にしても最後の姿は綺麗に整えたいという心理が需要を支え続けるため、エンバーマーの将来性は長期にわたり盤石といえます。

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エンバーマーの年収と待遇

エンバーマーの年収は、勤務先の規模や経験年数によって幅があります。

全国に237人しかいない希少な専門職であり、自社で処置施設を持つ大手葬儀社では高水準の待遇が用意されています。

納棺師や葬祭ディレクターと比べた経済的な安定性は高く、長期的に安心して働けるキャリアです。

新人の初任給は月20万円台が目安

エンバーマーとして働き始めた直後の初任給は、月20万円台が一つの目安となります。

エンバーマー単独の全国平均年収を示す公的な統計はありませんが、大手葬儀社の給与水準から見当をつけられます。

「ニッチな職業だから給料が低いのでは」と心配する方も多いものの、新人時代から業界内では決して低くない水準で働き始められる職業です。

経験年数に応じて年収400〜600万円に上昇

経験を積むにつれて、エンバーマーの年収は段階的に上がっていく傾向があります。

希少人材として企業が手放したくない存在のため、長く勤続するほど待遇が改善されやすいのが特徴です。

大手葬儀グループでは、エンバーマーは故人の尊厳を守る専門職として位置づけられており、入社後数年で500万円から700万円台に到達するケースが多いとされます。

フリーランスや零細企業で歩合制中心に働く納棺師では年収300万円前後で頭打ちになるケースもあり、生涯賃金で比べるとエンバーマーの優位性は大きい職種です。

勤務先によって待遇に差がある

同じエンバーマーでも、勤務先の規模や雇用形態によって待遇は大きく変わります。

「思ったより給料が安い」という声がネットで聞かれる一因も、この差にあります。

業界内の待遇差は、次の3パターンに分けて捉えると分かりやすいです。

  • 専用施設を持つ大手葬儀グループに正社員として所属:体系立った給与レンジで安定的に昇給
  • 中小の葬儀社や提携施設で勤務:基本給は中程度で、勤務先の業績に左右されやすい
  • フリーランスや零細企業で件数あたりの歩合制で働く:収入が不安定になりやすく頭打ちのリスクあり

専用の処置施設を自社で持てるのは資本力のある大手企業に限られるため、勤務先の選択が生涯収入を大きく左右します。

資格を取得した後、どの企業に所属するかが極めて重要な分岐点となります。

資格手当や夜間対応手当が支給される

エンバーマーの基本給に加えて、専門性に応じた手当が上乗せされることも収入面の大きな魅力です。

希少な資格を持つ人材を確保するため、企業側は基本給以外の報酬で待遇を厚くする傾向にあります。

具体的に支給されることが多い手当の例は次のとおりです。

  • 資格手当:正規のエンバーマー資格を持つことに対して毎月支給される
  • 専門職手当:解剖学や防腐技術といった高度な知識への対価として加算される
  • 夜間対応手当:急な搬送や夜間の処置に対応した際に支払われる

エンバーミングは施設内で計画的に行う処置が中心のため、葬祭ディレクターほど深夜の呼び出しが頻繁にあるわけではありません。

それでも対応した分はきちんと手当に反映されるので、専門性を活かして無理なく収入を伸ばしやすい仕組みが整っています。

エンバーマー資格取得の費用と回収期間

エンバーマーの資格取得には、専門学校での2年間の学びと多額の学費が必要です。

投資する金額は決して安くありませんが、希少な専門職としての高い就職率と安定した待遇により、就職後の数年間で十分に取り戻せるキャリアです。

納棺師や他職種からのステップアップを検討する人にとっても、現実的な投資先となります。

専門学校の学費は2年間で約300万円

エンバーマーになるための最も一般的なルートは、国内の専門学校で2年間学ぶコースです。

学費は総額で数百万円規模になり、数年単位の生活設計を見直す必要が出てくる金額です。

学ぶ内容は3つの柱に分かれています。

人体の構造を扱う解剖学、感染症や薬品の知識を学ぶ公衆衛生学、そしてご遺体を長期間衛生的に保つための防腐技術です。

これらを修めたうえで難関な試験に合格しなければなりません。

「これだけ払って本当に元が取れるのか」と不安に感じる方は多いはずですが、この高いハードルこそが、正規エンバーマーを全国237人にとどめている要因でもあります。

資格取得後の就職率はほぼ100%

結論からいうと、正規のエンバーマー資格を取得できれば就職に困ることはほぼありません。

需要に対して供給が決定的に不足しているため、卒業時点で複数の企業から声がかかる状況が続いています。

年間8万件を超える施工件数に対して有資格者は237人にとどまり、1人あたり年間約337件を担当する計算です。

稼働日の毎日1件以上の高度な処置をこなしている水準であり、企業にとってはどうしても確保したい希少人材といえます。

とくに自社で処置施設を持つ大手葬儀社からの引き合いは強く、「資格を取ったのに就職先がない」というネット上の声の多くは、無資格のアシスタント枠の話と混同されているケースです。

学費は就職後3〜5年で回収可能

専門学校に投じた学費は、就職後の数年間で十分に回収できる水準にあります。

大手葬儀社では希少人材として高めの待遇が用意されているからです。

大手葬儀グループでは平均年収が高水準にあり、エンバーマーは入社後数年で500万円から700万円台に到達するケースが多いとされます。

仮に年収500万円台で安定して働ければ、生活費を差し引いても数年単位で学費を取り戻せる計算です。

同業界でフリーランスや零細企業で歩合制中心に働く納棺師では年収300万円前後で頭打ちになるケースもあるため、長期視点では大きな差がつきます。

転職組はスキルアップで年収が上がる

納棺師や葬儀スタッフからエンバーマーへステップアップした転職組は、資格取得を境に年収が一段引き上がりやすい傾向にあります。

同じ葬祭業界の中でも、参入障壁の高さがそのまま待遇差として表れるためです。

転職前後でどう変化するか、よくあるパターンを整理すると次のとおりです。

転職前の状況 転職後に起きやすい変化
納棺師として歩合制で年収300万円前後 大手企業の専門職として年収500万円台に到達
葬祭ディレクターとして年収440万円前後 専門職手当や資格手当が加わり年収700万円台に届く
地方の小規模事業所で勤務 大都市の処置施設へ移り、固定給と社会保険が整った環境へ移行

納棺師は参入障壁が低く価格競争に巻き込まれやすい職種である一方、エンバーマーは法的・技術的なハードルが高く価格競争から逃れられます。

学費と時間という初期投資はかかるものの、ステップアップを目指す価値が十分にある選択肢です。

エンバーマーに向いている人の特徴

エンバーマーは、誰でも簡単に就ける職業ではありません。

ご遺体と真正面から向き合う精神的な強さに加えて、長時間の処置に耐える体力、繊細な手作業の技術、そして悲しみに寄り添い続ける感情のコントロール力が求められます。

全国に237人しかいないという希少性は、こうした適性のハードルの高さを映し出しています。

精神的なタフさ

エンバーマーに何より求められるのは、深い精神的なタフさです。

日々向き合うご遺体の中には、凄惨な交通事故や孤独死による腐敗、自死など、目を背けたくなる状況のケースも少なくありません。

表面的な「命への尊厳」だけでは乗り越えられない現実があります。

業務ではご遺体を医学的な処置の対象として冷静に扱う一方、背後にいる遺族の深い悲しみには温かな共感を寄せる必要があります。

相手の気持ちに合わせて自分の感情を整える働き方は感情労働と呼ばれ、その中でも特に難度の高いバランスが求められます。

専門学校に入る前に施設の見学会へ参加したり、葬儀社でアルバイトをしたりして、自分の耐性を冷静に見極めることが欠かせません。

手作業のスキルと体力

エンバーマーは、医療職に近い精密な手作業と、何時間も立ち続ける体力の両方を兼ね備えた人に向いています。

処置の中身は単純な保存ではなく、修復と衛生の両面にまたがる高度な技術だからです。

現場で求められる身体能力と技術は、具体的に次のような内容になります。

  • 血管にメスを入れて防腐殺菌剤を注入する外科的な手技を、長時間正確に行える集中力
  • 事故や闘病で損傷した部位を、写真を見ながらワックスや縫合で復元する繊細な指先の感覚
  • 劇物に指定される化学薬品を、安全に取り扱うための慎重さと知識
  • 1件の処置に何時間もかかる立ち仕事に耐えられる体力と持久力

B型肝炎や結核などの感染症対策として厳密な医療プロトコルを守る必要もあり、医療職に近い慎重さと、職人的な手の器用さの両方が問われる仕事です。

長く続けられる資質

エンバーマーは短期間で稼ぐ職業ではなく、長く続けてこそ希少性が高まるキャリアです。

専門学校で2年間学び、難関な試験を経てようやくスタート地点に立つため、続けられる資質を備えているかが極めて重要になります。

長く続けられるかを見極める観点は、次の3つに整理できます。

観点 確認すべきポイント
死生観の安定 死に関するニュースや現場に触れたとき、極端に落ち込まず冷静に受け止められるか
学び続ける姿勢 解剖学や公衆衛生学、新しい感染症対策のルールを継続的に学んでいけるか
地理的な柔軟性 処置施設のある都市部や大手企業の所在地へ生活拠点を移せるか

処置施設は全国に90か所しかなく、地方在住のまま資格を活かすのは難しいのが現実です。

長期的に活躍するには、自分自身の心構えと生活設計を冷静に見直す姿勢が欠かせません。

まとめ

エンバーマーが求められる場面は、多死社会の進行や火葬待ちの常態化を背景にこれからも拡大が続きます。

年間8万件を超える施工件数に対し、正規の有資格者は全国に237人しかいない圧倒的な売り手市場で、大手葬儀社では平均年収805万円という水準の待遇も狙えるキャリアです。

専門学校での2年間の学費という投資は必要ですが、就職後数年で十分に取り戻せる現実的な選択肢といえます。

遺族にとっても、ご遺体の修復と衛生の両面で機械には代替できないこの技術は、後悔のないお別れを叶える確かな手段となるはずです。

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